アツい夏と向き合う建築所作

この記事は2018年7月25日に書いています。神奈川東部の葉山でも7/22から3日連続で35℃超えで異常気象と言われています。日本各地でも高温が記録され、都内でも観測史上はじめての40℃超えが記録されました。ニュースでは熱中症に気をつけるように、エアコンを使用して宅内で熱中症にかからないようにしましょうと連呼されています。確かにエアコンは限られた空間の中では局所的に温度を下げることができますが、その対価としてエネルギー消費や空間周辺への排熱も伴います。空間は冷えるが空間外部は温度が上がることを知ってはいるもののやめられないという悪循環です。車は排気ガスを出し、交通事故も起こすけど、その利便性には替えられないというそれと同じ理屈です。もっと、違う方法でクールダウンにアプローチする方法はあるはずです。そんな指向はイノベーションクリエイター集団も実践していました。興味深い映像がありましたのでYouTubuから引用します。

 

その独特な形態から賛否両論ある2017年竣工したアップル本社ビルに内蔵された換気システムだそうです。1970年代にアメリカ西海岸で支持されていた Whole Earth Catalogue にそのルーツはあると思われます。ただ、このクールチューブの循環水のエネルギー源までは映像で触れられていませんが、Whole Earth Catalogueちっくに探ったとすれば地下水の活用だと推測できます。それに加えてスティーブ・ジョブスは、「エアコン、特に換気扇を毛嫌いすると同時にオフィスの窓が開けられるのも嫌い」という指向が重なって開発されていった模様です。

やはり、アツい夏のやりくりにおいて安易にエアコンに流れること無く快適解を探すためには、そこに強い思いも存在しないと実現しないのだと再確認した逸話です。

 

私の設計する建物においても、なんとかエアコンに頼らない空間ができないかという思いが貫通しています。もし、私が設計した住まいに住んでいる方がこの記事をお読みになりましたら、次のことを実践してみてください。

・高いところにある開口部を全開する

・低いところにある開口部を全開する

それらは小雨程度であれば雨が侵入しないように工夫されています。熱せられた空気は高いところに上昇します。そのときに上の窓から熱は抜けていき、下の窓から空気が入り込んできます。風が無くても重力で空気を動かせます。「熱い空気は上から出す & そのために低いところから空気を入れる」と記憶してください。仮に、外気温と室内の温度が同じだとしても、人間の体温、TVなどの待機電源熱などで、家の中に熱は発生します。そうすると、熱は自然と上に上がります。上に上がった熱は窓から出してしまいましょう。そのときに下にある窓から空気が入るようにしましょう。それだけで、無風状態でも勝手に室内の空気は動きます。

また、上の出口と下の入り口の高低差は大きければ大きいほど効果があります。最下部から最上部において自然発生の気流が生じます。3階建てであれば、3階の窓と1階の窓。2階建てであれば2階の窓と1階の窓。できるだけ、家の中の最上部の窓と最下部の窓(できれば北側に面した窓=陽のあたらない面)でそれを試みてください。外に風が吹いていなくても、ゆっくりとした気流が発生し、そのかすかな1/fのゆらぎ気流がとても人肌に心地よく感じます。

我が家、我が事務所は、「海のそば山の横」という恵まれた立地でもあるため、この重力換気に加えて、海風山風も取り込み、この夏もエアコン無しで生活ができています。スティーブ・ジョブスのような「エアコン、特に換気扇を毛嫌いすると同時にオフィスの窓が開けられるのも嫌い」という指向性は私にはないため、扇風機と上下窓全開でアツさをしのぐことができています。つい、二〜三日前私が葉山で設計したお宅のそばを通ったときに、この猛暑の昼間でも窓全開で過ごしている様子を垣間見て、エアコン無しでやりくりされているのだなと嬉しく思いました。

いままでもその指向で設計してきましたが、今後はもっとパワーアップしてエアコンに頼らない夏をつくっていきたいと燃えています。それは、冷えた空間とアツい外部を出たり入ったりすると体全体がだるくなり、体質的に嫌だなと感じるからです。体と地域に負担の少ないクールダウン・ディテールがもっともっと進化していくことで、地球全体をクールダウンさせることが可能だと考えています。

 

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