■ 車にまつわるエトセトラ

現在、乗っている車は所有期間14年、走行12万キロを超え、まだまだこれから20年20万キロを目指そうと乗り続けるつもりだった。それが最近、定員5名に対して5名乗ると後部座席が狭く感じられるようになり、消費増税のタイミングも重なり、5名が窮屈せず乗ることができる車の検討をはじめた。また、あなたの車はエコ的ではないので毎年の自動車税は全く減税の対象になりませんよとハガキでおカミが通告してきていて、まんまとおカミの政策にのることとなったのだ。私の個人的な趣味の車であれば、ヘビーデューティーな4躯車を洗車もせずがりがりと乗りたいところだが、きっかけは「5名窮屈せず」といったことなのでその線で探りを入れていくことになった。

ところで、私の車遍歴を備忘録としてメモる。

・1台目(1979年〜1982年頃):ステップバン(ホンダ)〜記念する所有車1台目。大学生の足として、通学とサーフィンに使用。軽でありながらフラットな荷室を土足厳禁にし、着替えや仮眠にと重宝した。

・2台目(1983年頃):ビートル(フォルクスワーゲン)〜友人から3万円で買い受けたぼろぼろの車。意外とエンジンは良く回り、毎日松戸から房総半島へ往復していた。

・3台目(1985年頃):シティ(ホンダ)〜休日にちょい乗りするだけなので、燃費と小回りを優先した。マッドネスの「ホンダホンダホンダ〜」のCMが懐かしい。

・4台目(1987年頃):ゴルフ(フォルクスワーゲン)〜買い物用の足として。あるとき思いっきりハンドルを切ると「バキッ!」と音がして操作不能に。そのままお釈迦になる。

・5台目(1990年頃):ライトエース(トヨタ)〜家族旅行も視野に入れた当時のミニバンタイプ。初めての新車。デリカ4躯との比較でやむなくこの車に。

・6台目(1993年頃):ランドクルーザー40(トヨタ)〜岩手の出張先で出会う。そのまま盛岡から乗って帰る。よく走りウインチ操作も面白かった記憶に残る車。関東地区ではディーゼル車の規制が始まり乗り換えに至る。

・7台目(1994年頃):チェロキースポーツ(ホンダ)〜ホンダが扱うクライスラーの車。燃費3km/L弱と燃費に苦しめられ1年ほどで手放す。新車購入時の半分以下で放出。

・8台目(1995年〜1997年):300TDTディーゼル(メルセデス)〜同車を所有している友人から燃費の良さを聞き即乗り換える。ディーゼルにもかかわらず、高速走行のスムーズさと燃費に魅了される。軽油15km/L程度だったと記憶。エアコン不良で廃車に。この頃から、普段使いのサンダル君(軽トラ)との2台所有になる。

・9台目(1997年〜2001年):280TE(メルセデス)ステーションワゴン〜燃費の良さで同じ車種に乗り換え。九州の現場や屋久島まで葉山から往復した。どっしりと安定感があり高速走行も苦にならない良い車だった。エンジンのピストンが摩耗してオイル燃焼が始まったため乗り換え。走行距離20万キロを超えていた。

・10台目(2001年〜2014年):C200(メルセデス)ステーションワゴン〜前者に比べて軽い感じになるが、燃費と走行性能は変わらず良い。とてもしっくりときたのか所有歴最長不倒。まだまだ乗りたかった。この間軽トラは4台ほど乗り継ぎ、現在はホンダの軽バンとの併用。

ざっと振り返ると、ホンダ、VW、トヨタ、メルセデスを相棒として選択してきたようだ。その時々の目的に応じて選択されたようで、当時のライフスタイルを物語るが、総じて、走行性能、燃費、荷室の折り合いが良い車に乗り継いできたように思う。さて、今回はどうか。全く同じ指向性であろうか。

現在の所有しているガソリン車に乗り始めた14年ほど前、ハイブリッド車なる電気+エンジンを搭載した車が登場した。気になっていた。当初から、知り合いが社用車としてプリウスに乗りその性能を賛美していた。結果として燃費が良い車は、有限な化石エネルギー消費量が減り地球にローインパクトなことは理解していた。興味を持ったのはその辺にあった。しかし、そのプリウスは荷室が小さくバーニーズマウンテンドッグが家族にいた当時では全く視野に入らなかった。今回も面白そうな車だが荷室がネックになると思っていた。ところが、調べ始めるとプリウスのワゴンタイプそれも7人乗りが2年ほど前に登場していたのだ。昔密かに好きだった娘が良い感じに年齢を重ね私の好みの女性に変貌を遂げていたかのように次世代候補車としてすっと視野に入ってきたのだった。彼女に目もくれず口説き始めてもっと良い子が居たと後悔してはならぬと手探りであたりをゆっくりと見回した。何気なく飛び込んできたのが、PHEVなる電気自動車。身なりはミドルサイズの4躯車だが、電気だけで60kmは走るという。それも充電スタンドがなければガソリンで発電して走り続けることができるという。プロのインプレッションも見ると4躯車の性能は充分で、電気自動車の静かな走りもできると。その電気容量は災害時、家庭用の電気量10日分に相当する蓄電能力があるともあった。未来志向の全く新しいスタイルの車のようだ。5人乗りしかないが未来志向の電気自動車かあ!とグラッと気持ちが揺らいでいるときに、7人乗りで燃費15km/Lのガソリン車が目にとまる。フォルクスワーゲンのミドルサイズミニバンだった。また、ホンダのミドルサイズミニバン6人乗りも横目に入ってきた。一通りラインナップが出そろった。まずは5人を超える定員を持つものに絞るも4躯の電気自動車には興味が尽きず試乗に至る。その走りは面白いも皆が口をそろえて言うように、かつ売りたくないのではないかと思えるくらいにデザインが良くない。乗る面白さはあっても所有する面白さに欠けた。災害時に威力を発揮するとは言え、心をつかむには至らなかった。やはり定員5人を超える車に絞った。

焦点は3列目シートの居住性と燃費。メルセデスの3列シートでステーションワゴンタイプにも惹かれたが、価格と燃費が求めるものと違い脱落。VWの3列シートはあくまでもエマージェンシー対応でしかなく視野から外れる。ホンダのミドルサイズミニバンのハイブリッド車は、3列シートはそこそこ居住性は高いが総合的な乗り心地は軽トラの域にとどまった。結局、3列シート車では一番の燃費を誇ったトヨタのハイブリッド車に軍配が上がる。街を見渡すと至る所で走っている。レアな車を所有する喜びはほとんど無いが、実用車として所有する喜びはありそうだ。

話は変わるが、薪ストーブを選択する際も同じような視点がある。オープンタイプのマントルピースや焚き火の炉台型は家の中が暖まりにくく、薪の消費量も多い。給気制御型の薪ストーブも車に劣らず、様々なタイプがある。再安価の薪ストーブは燃焼室で焚いてそのまま煙を煙突から放出させ、燃費も悪い。もうかれこれ30年以上も前から、クリーンな排気と高燃費の薪ストーブが開発されていて、価格はそこそこ高いが実用性は高い。そのタイプは庫内で燃えた薪の煙をもう一度燃焼させて、薪の持つ潜在的な熱エネルギーを高能率で引き出そうとするのだ。触媒を使い煙を別室で再燃焼するもの、薪と同じ庫内ではあるが上部に給気し煙を再燃焼させるもの、などなどその種類も多様化している。それぞれ一長一短あるが、触媒タイプのものが薪から取り出す熱エネルギーが最も高いとされている。我が家にやってきた車のディーラー担当者は、薪ストーブってこんなに暖かいものなんですねえと感心していた。その営業マンの家にもオープン型の薪ストーブがあるという。火が着いているときは暖かいがこんなに暖かくなりませんし、すぐに薪が燃え尽きてしまい薪がいくらあってもたりませんと。お宅の薪ストーブは焚き火台で、ガソリンをジャブジャブ食ってブオーンと走って行く一昔前のアメ車のような感じですかねえ。この薪ストーブは同じガソリン量でも最大限にそのエネルギーを引き出して燃費が良くなる御社のハイブリッド車と同じようなものですかねえと私。

すまいも同じこと。自然エネルギー(太陽や風)を最大限に取り込み、それを外に出さない(断熱性能)ようにして、できるだけクリーンなスタイルになっていっている。設計者の意識がそこにあるかどうかで、その辺の居住性能は変わる。デザインが良くても、価格が安くても、造り手側にその意識がないと居住性は劣ってくる。これからはいかに低燃費で居住性が高く、長く住み続けられるかという視点がもっとも必要ではないか。車も薪ストーブも、ましてや投資が一番大きいすまいもまったく同じ視点なのだと再認識しているところ。すまいの形は多視点的に多様な選択肢の中から厳選されひとつの形となって現れてくるが、今後高性能で心地よいこととは、実はデザインだけではなく、昔からのやり方と技術の融合により燃費の良さを結集させる方向にあるのではないか。私は少なくとも車を選択するにあたりデザインよりもそちらを優先させたのだ。