■ デザインで大切にしていること

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グーグルマップ・ストリートビューから
 

建築のデザインは○△□をどうアレンジするかが佇まいのポイントではある。しかし、それだけではない重要なポイントがある。私にそれを気づかせてくれたのは、神奈川県藤沢市にある「湘南台文化センターこども館」だ。1980年代、公開コンペで華々しく登場した公共建築。当時の設計協議の講評で「サラダボウルをひっくり返したような新鮮な建築」と絶賛されていたように記憶している。

1994年に私が神奈川県で独立し、藤沢を訪れる機会があり、竣工5〜6年後のそれを見た瞬間、唖然とした。それはサラダボウルをひっくり返してしまい無残にも醤油ベースのドレッシングがまわりにヘドロついてしまったような悲しい姿だったのだ。そうかこうなったらだめなんだと教えられた。トラックが行き交う幹線沿い、日々積み重なる粉塵が雨に流されて外壁をつたう。長い年月を待つこと無く、それは悲しい佇まいになってしまうのだと。何故か胸が痛んだ。それ以来、○△□も大切だけど、時間と共に美しく熟してゆくゆく建築とはどんな建築だろうと考えるようになった。

経年することでさらに美しくなってゆく建築にはそれぞれの理由がある。ひとつは、メンテナンスをきちんとしてゆくこと。最たるものは伊勢神宮。20年に一度はメンテナンスをする。もう一つは、汚れを落としても毅然としている素材でできている建築。ジーンズのように洗濯すればするほど味わいが増してゆく素材。そんなジーンズのような建築素材はなかなかないが、自然素材に見ることができる。リサイクル建材を扱う古材屋さんには、古い柱や梁、建具や家具などが歴史を持って凜としているが、そのどれもが自然素材のモク(木)や鉄、ガラス、紙といった日本の自然素材でできている。

私の場合はその教訓を元に、できるだけ黒い涙が発生しないようなディテールを心がけている。左官屋さんの心意気が伝わる左官仕上げをよく採用するが、その際には、粉塵が溜まらないディテール、溜まったとしても外壁を伝わらないディテール。伝わったとしても雨で流れてしまう仕上げ材を採用することで、悲しい佇まいにならないようにデザインしている。特に20110311以降の最近では、いつ空から降ってくるともわからない放射性物質がとどまりにくい外壁の仕上げ材の採用にも留意している。とにかく雨と共にできるだけ去って行ってしまうような素材。それは、粉塵がとどまりにくい素材と共通しているのだ。

サッシュ下に黒い涙がつかない小さなディテール
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雨と共に去りぬ仕上げ
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また、内装では最近ルンバを使うことが増えていることも頭に入れている。ここのところ数年私が通っている歯医者さんでもルンバを使っているようで、診療を待つ間何気なく見ていたら、白い幅木にルンバの仕事の痕跡があった。それは、コンセントから出ている電源コードのところで仕事をやめて、ルンバはそこで引き返しているようだった。ルンバを使う可能性のあるすまいや建物では、ルンバの痕跡が残りにくい幅木の素材や色も留意しなければならない。

 

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