謹賀新年 2019.01.01

こつこつとお客様の希望をかたちにしていきます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

 


平成30年24号台風でリデザイン

 

2018年10月1日未明1:30頃、台風24号により、葉山町に突風が吹き荒れました。枕元においてあった携帯電話が鳴り、そのコール内容でその事態の大変さを知りました。「バルコニーの屋根が飛んで家が揺れているけど、このまま家にいて大丈夫か」と私のお客さんから。それから目が覚めて屋上から周囲を見渡すと、突風が吹くたびに電柱のトランスあたりから火花が真横に飛んでいき、それはここに住み始めて25年目にしてはじめての体験でした。聞くところによると、湘南国際村では、瞬間風速50m/sを記録し、近所では古民家が真横に倒壊したとも聞こえています。とんでもない災害でした。翌朝、我が家も点検すると、上の写真のように2階のバルコニーの付け庇が全壊していました。

早速、深夜コールのお客さんのところに行くと、バルコニーの屋根が飛んでオープントップになっていました。取り急ぎ、雨による二次被害が出ないように施工者に応急手当てを依頼し、火災保険手続きのための資料作成準備をしました。この風水害による復旧費用は火災保険で担保できます。まずは、被害が広がらないように応急復旧して、保険の手続きを進めます。

 

お客さんの要望をお聞きすると、また同じような災害時屋根が飛ばないように工夫したいとのことでした。開閉式の屋根にしたいともお話されたので、カブリオレスタイルにリデザインすることにしました。ピンチをチャンスに。これをきっかけに、雨のときは屋根が有り、気持ちの良いときや台風時には格納できる屋根スタイルへ、まさにカブリオレスタイルの住まいです。

まだ、計画が始まったばかりですが、さらにワクワクするような生活ができそうで、楽しみにしています。
我が家のバルコニーも、台風に備えてカブリオレスタイルへリデザインする予定です。

 

被害前のバルコニー

 


アツい夏と向き合う建築所作

この記事は2018年7月25日に書いています。神奈川東部の葉山でも7/22から3日連続で35℃超えで異常気象と言われています。日本各地でも高温が記録され、都内でも観測史上はじめての40℃超えが記録されました。ニュースでは熱中症に気をつけるように、エアコンを使用して宅内で熱中症にかからないようにしましょうと連呼されています。確かにエアコンは限られた空間の中では局所的に温度を下げることができますが、その対価としてエネルギー消費や空間周辺への排熱も伴います。空間は冷えるが空間外部は温度が上がることを知ってはいるもののやめられないという悪循環です。車は排気ガスを出し、交通事故も起こすけど、その利便性には替えられないというそれと同じ理屈です。もっと、違う方法でクールダウンにアプローチする方法はあるはずです。そんな指向はイノベーションクリエイター集団も実践していました。興味深い映像がありましたのでYouTubuから引用します。

 

その独特な形態から賛否両論ある2017年竣工したアップル本社ビルに内蔵された換気システムだそうです。1970年代にアメリカ西海岸で支持されていた Whole Earth Catalogue にそのルーツはあると思われます。ただ、このクールチューブの循環水のエネルギー源までは映像で触れられていませんが、Whole Earth Catalogueちっくに探ったとすれば地下水の活用だと推測できます。それに加えてスティーブ・ジョブスは、「エアコン、特に換気扇を毛嫌いすると同時にオフィスの窓が開けられるのも嫌い」という指向が重なって開発されていった模様です。

やはり、アツい夏のやりくりにおいて安易にエアコンに流れること無く快適解を探すためには、そこに強い思いも存在しないと実現しないのだと再確認した逸話です。

 

私の設計する建物においても、なんとかエアコンに頼らない空間ができないかという思いが貫通しています。もし、私が設計した住まいに住んでいる方がこの記事をお読みになりましたら、次のことを実践してみてください。

・高いところにある開口部を全開する

・低いところにある開口部を全開する

それらは小雨程度であれば雨が侵入しないように工夫されています。熱せられた空気は高いところに上昇します。そのときに上の窓から熱は抜けていき、下の窓から空気が入り込んできます。風が無くても重力で空気を動かせます。「熱い空気は上から出す & そのために低いところから空気を入れる」と記憶してください。仮に、外気温と室内の温度が同じだとしても、人間の体温、TVなどの待機電源熱などで、家の中に熱は発生します。そうすると、熱は自然と上に上がります。上に上がった熱は窓から出してしまいましょう。そのときに下にある窓から空気が入るようにしましょう。それだけで、無風状態でも勝手に室内の空気は動きます。

また、上の出口と下の入り口の高低差は大きければ大きいほど効果があります。最下部から最上部において自然発生の気流が生じます。3階建てであれば、3階の窓と1階の窓。2階建てであれば2階の窓と1階の窓。できるだけ、家の中の最上部の窓と最下部の窓(できれば北側に面した窓=陽のあたらない面)でそれを試みてください。外に風が吹いていなくても、ゆっくりとした気流が発生し、そのかすかな1/fのゆらぎ気流がとても人肌に心地よく感じます。

我が家、我が事務所は、「海のそば山の横」という恵まれた立地でもあるため、この重力換気に加えて、海風山風も取り込み、この夏もエアコン無しで生活ができています。スティーブ・ジョブスのような「エアコン、特に換気扇を毛嫌いすると同時にオフィスの窓が開けられるのも嫌い」という指向性は私にはないため、扇風機と上下窓全開でアツさをしのぐことができています。つい、二〜三日前私が葉山で設計したお宅のそばを通ったときに、この猛暑の昼間でも窓全開で過ごしている様子を垣間見て、エアコン無しでやりくりされているのだなと嬉しく思いました。

いままでもその指向で設計してきましたが、今後はもっとパワーアップしてエアコンに頼らない夏をつくっていきたいと燃えています。それは、冷えた空間とアツい外部を出たり入ったりすると体全体がだるくなり、体質的に嫌だなと感じるからです。体と地域に負担の少ないクールダウン・ディテールがもっともっと進化していくことで、地球全体をクールダウンさせることが可能だと考えています。

 

関連記事(上記文の詳細が記載されています)

エアコンに頼らないすまいをデザインする

やっぱりエアコンに頼りたくない

エアコンに頼らないぞ!

 

 


Tシャツでアイスクリーム

 

あるプロジェクトがきっかけで日頃考えていることが私の中で生き生きと動き始めている。

● エアコンに頼らないこと
● 風、太陽などの自然エネルギーを存分に活用すること
● 一度蓄えた自然エネルギーを逃さないこと
● 再生資源である木を使うこと

これらは、私が今まで住宅制作活動の「プランニング」において実践してきたこと。あくまでも「パッシブ(ソーラー)プランニング」であり、設備を多用する「アクティブ(ソーラー)プランニング」ではない。すなわち、それは設備に頼ることのないプランニングの工夫、言い換えれば間取りや断面計画の工夫で実践しようとすることなのだ。

夏は微風を捉えて住まいの中に気流を発生させる。
冬は太陽光を家の中に蓄え、逃さない。

この2点は、費用のかかる設備投資をしなくても設計の工夫で可能な知恵なのだ。かつての日本家屋がそうであったように、自然とともに暮らす知恵である。
ただし、かつての日本家屋そのままでは、「夏をもってすべし」がいうように夏の涼しい暮らしの知恵でしかない。現代生活では冬の豊かな暮らし方の視点を圧入することと痛感する。
かれこれ40年ほど前、北海道から東京に出てきた私に、なんて東京の冬は寒くて貧しい暮らしぶりなんだろうと感じたことが源流として流れている。『どてらにこたつでみかん』 VS『Tシャツ姿ストーブの前でアイスクリーム』は笑い話ではあるが。

 

2016年COP(気候変動問題に関する国連気候変動枠組み条約締約国会議)でパリ協定が発効された。それは、世界平均気温の上昇を1.5~2℃までに抑えることを目標にしようという指針である。
これは、エネルギーの浪費をやめ、有限かつ温暖化を促進する化石エネルギーの使用を大幅に減らそうという目標だ。
それは、自然エネルギーを積極的に使い、一度得たエネルギーを有効に使おうということと同義と考えて良い。
現在最もよく聞こえてくるキーワードは「脱炭素」。かつては、サスティナブル・デベロップメント(持続可能な開発)とも言われていた。次世代につけを回さない開発。それをさらに具現化するキーワードとして脱炭素がいよいよ動き出したと考える。もうすでに1980年代から同じことを指針としてきているのだと改めて考えさせらるのだ。

 

築40年、100坪、各室にバスルームを持ったかなり贅沢な木造家屋が目の前に現れた。古いといえば古い。少し前であれば、スクラップ・アンド・ビルドだったはず。セントラルヒーティングで全館空調されたであろうその館は、やはり脱炭素を目指してリノベーションする必要があろう。
木造家屋の心臓部にシロアリが巣食っていないか、建物は不同沈下していないか、基礎は生きているか、そのためのチェックが必要である。それらのチェックで延命可能と診断されたら、徹底的にリノベーションを行いたい。

その際には、やはり

● エアコンに頼らないこと
● 風、太陽などの自然エネルギーを存分に活用すること
● 一度蓄えた自然エネルギーを逃さないこと
● 再生資源である木を使うこと
を念頭におきたい。

この脱炭素の指針のもとこの館が延命再生されることは、地球人類地域住人の持続可能な具体的手法になると考える。

能書きはさておき、安く快適にそして人間らしく暮らせるすまいに再生させることが第一目標であることはいうまでもない。
冬の寒い時期、太陽光の恩恵を受け、Tシャツ姿でアイスクリーム片手にのびのびと動き回れるすまいが理想的だ。

 

 


建築家展に参加しました

2017.07.15から三日間、横須賀市の湘南国際村で開催された建築家展に参加しました。日常生活ではなかなか出会うことが少ない建築家とお話するイベントです。今回は、逗子、鎌倉、横浜から総勢10人の建築家が集まりました。
三日間ご来場いただいた方々といろいろなお話しをするのですが、みなさんそれぞれいろいろとお悩みをもっておられました。

特に印象に残っているのは、家族構成の変化に伴い今のすまいをリフォームするか、建て替えるかというお悩みでした。予算的にはリフォームなんだろうけれど、築年数からすると構造的に大丈夫なのだろうか、建て替えた方がよいのではないかという悩みです。その悩みにプロの視点でどう思うかということでした。
実際に状態を見てみないとわからないことが多いのですが、ひとつの視点は1981年に大きく改正された耐震基準を満たしているかと言うことでしょうか。ようはその建物の完成時期が1981年以降か以前かという視点。築36年以上か以下か。その耐震基準は、新耐震基準と言われ以下のような概念で改正されています。

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新基準では、地震による建物の倒壊を防ぐだけではなく、建物内の人間の安全を確保することに主眼がおかれた。旧基準の震度5程度の地震に耐えうる住宅との規定は、新基準では『震度6強以上の地震で倒れない住宅』と変わった。
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リフォームか建て替えかで悩むときには、ひとつの机上の判断基準となります。新耐震以前の建物であれば、目に見えない内部構造の状態が良好でこの先も問題ないとなれば耐震補強を行ってすまいの寿命を延ばすことが可能になりますが、構造に痛みがある場合は建て替えた方が安心して住むことができます。ただ、築年数が浅くても、構造に痛みがある場合や合法的に造られていない場合はやはり建て替えた方が良い場合もあります。こればっかりは現物を調査してみないと判断できません。

子供夫妻と同居することになったのでリフォームしたい。
身の丈に合った終のすまいを再構築したい。
犬と楽しく住むのに快適な環境を整えたい。
ハウスメーカーや工務店のショールームは現実味が無いので建築家はどのような空間を造っているのか。
土間と木、薪ストーブのライフスタイルを構築したい。
などなど。いろいろな方のお悩みをお聞きできて充実した三日間でした。

木(もく)と風が設計テーマの我々にぴったりの志向をもった方々もいらっしゃいました。とっても興味深くお話をお聞きしましたが、私たちの設計志向がうまく伝わったのかどうか。伝わってくれるとうれしいのですが。
そうそう、釣り具畑メーカー一筋の方もいらっしゃり、ルアーメーカーとして今はメジャーになったシイラゲームを仕掛けたというお話しもお聞きでき、是非また別の機会にその方面のお話しもお聞きしたいと思いました。またの機会があることを楽しみにしています。