平成30年24号台風でリデザイン

 

2018年10月1日未明1:30頃、台風24号により、葉山町に突風が吹き荒れました。枕元においてあった携帯電話が鳴り、そのコール内容でその事態の大変さを知りました。「バルコニーの屋根が飛んで家が揺れているけど、このまま家にいて大丈夫か」と私のお客さんから。それから目が覚めて屋上から周囲を見渡すと、突風が吹くたびに電柱のトランスあたりから火花が真横に飛んでいき、それはここに住み始めて25年目にしてはじめての体験でした。聞くところによると、湘南国際村では、瞬間風速50m/sを記録し、近所では古民家が真横に倒壊したとも聞こえています。とんでもない災害でした。翌朝、我が家も点検すると、上の写真のように2階のバルコニーの付け庇が全壊していました。

早速、深夜コールのお客さんのところに行くと、バルコニーの屋根が飛んでオープントップになっていました。取り急ぎ、雨による二次被害が出ないように施工者に応急手当てを依頼し、火災保険手続きのための資料作成準備をしました。この風水害による復旧費用は火災保険で担保できます。まずは、被害が広がらないように応急復旧して、保険の手続きを進めます。

 

お客さんの要望をお聞きすると、また同じような災害時屋根が飛ばないように工夫したいとのことでした。開閉式の屋根にしたいともお話されたので、カブリオレスタイルにリデザインすることにしました。ピンチをチャンスに。これをきっかけに、雨のときは屋根が有り、気持ちの良いときや台風時には格納できる屋根スタイルへ、まさにカブリオレスタイルの住まいです。

まだ、計画が始まったばかりですが、さらにワクワクするような生活ができそうで、楽しみにしています。
我が家のバルコニーも、台風に備えてカブリオレスタイルへリデザインする予定です。

 

被害前のバルコニー

 


アツい夏と向き合う建築所作

この記事は2018年7月25日に書いています。神奈川東部の葉山でも7/22から3日連続で35℃超えで異常気象と言われています。日本各地でも高温が記録され、都内でも観測史上はじめての40℃超えが記録されました。ニュースでは熱中症に気をつけるように、エアコンを使用して宅内で熱中症にかからないようにしましょうと連呼されています。確かにエアコンは限られた空間の中では局所的に温度を下げることができますが、その対価としてエネルギー消費や空間周辺への排熱も伴います。空間は冷えるが空間外部は温度が上がることを知ってはいるもののやめられないという悪循環です。車は排気ガスを出し、交通事故も起こすけど、その利便性には替えられないというそれと同じ理屈です。もっと、違う方法でクールダウンにアプローチする方法はあるはずです。そんな指向はイノベーションクリエイター集団も実践していました。興味深い映像がありましたのでYouTubuから引用します。

 

その独特な形態から賛否両論ある2017年竣工したアップル本社ビルに内蔵された換気システムだそうです。1970年代にアメリカ西海岸で支持されていた Whole Earth Catalogue にそのルーツはあると思われます。ただ、このクールチューブの循環水のエネルギー源までは映像で触れられていませんが、Whole Earth Catalogueちっくに探ったとすれば地下水の活用だと推測できます。それに加えてスティーブ・ジョブスは、「エアコン、特に換気扇を毛嫌いすると同時にオフィスの窓が開けられるのも嫌い」という指向が重なって開発されていった模様です。

やはり、アツい夏のやりくりにおいて安易にエアコンに流れること無く快適解を探すためには、そこに強い思いも存在しないと実現しないのだと再確認した逸話です。

 

私の設計する建物においても、なんとかエアコンに頼らない空間ができないかという思いが貫通しています。もし、私が設計した住まいに住んでいる方がこの記事をお読みになりましたら、次のことを実践してみてください。

・高いところにある開口部を全開する

・低いところにある開口部を全開する

それらは小雨程度であれば雨が侵入しないように工夫されています。熱せられた空気は高いところに上昇します。そのときに上の窓から熱は抜けていき、下の窓から空気が入り込んできます。風が無くても重力で空気を動かせます。「熱い空気は上から出す & そのために低いところから空気を入れる」と記憶してください。仮に、外気温と室内の温度が同じだとしても、人間の体温、TVなどの待機電源熱などで、家の中に熱は発生します。そうすると、熱は自然と上に上がります。上に上がった熱は窓から出してしまいましょう。そのときに下にある窓から空気が入るようにしましょう。それだけで、無風状態でも勝手に室内の空気は動きます。

また、上の出口と下の入り口の高低差は大きければ大きいほど効果があります。最下部から最上部において自然発生の気流が生じます。3階建てであれば、3階の窓と1階の窓。2階建てであれば2階の窓と1階の窓。できるだけ、家の中の最上部の窓と最下部の窓(できれば北側に面した窓=陽のあたらない面)でそれを試みてください。外に風が吹いていなくても、ゆっくりとした気流が発生し、そのかすかな1/fのゆらぎ気流がとても人肌に心地よく感じます。

我が家、我が事務所は、「海のそば山の横」という恵まれた立地でもあるため、この重力換気に加えて、海風山風も取り込み、この夏もエアコン無しで生活ができています。スティーブ・ジョブスのような「エアコン、特に換気扇を毛嫌いすると同時にオフィスの窓が開けられるのも嫌い」という指向性は私にはないため、扇風機と上下窓全開でアツさをしのぐことができています。つい、二〜三日前私が葉山で設計したお宅のそばを通ったときに、この猛暑の昼間でも窓全開で過ごしている様子を垣間見て、エアコン無しでやりくりされているのだなと嬉しく思いました。

いままでもその指向で設計してきましたが、今後はもっとパワーアップしてエアコンに頼らない夏をつくっていきたいと燃えています。それは、冷えた空間とアツい外部を出たり入ったりすると体全体がだるくなり、体質的に嫌だなと感じるからです。体と地域に負担の少ないクールダウン・ディテールがもっともっと進化していくことで、地球全体をクールダウンさせることが可能だと考えています。

 

関連記事(上記文の詳細が記載されています)

エアコンに頼らないすまいをデザインする

やっぱりエアコンに頼りたくない

エアコンに頼らないぞ!

 

 


すまいを売るときのあるおはなし

 

住宅を中古住宅として売るときには、その住宅に隠れた瑕疵(異常箇所)がないかどうか、建築士が調査することがいずれ義務化されます。現在は任意ですが、良質な中古住宅流通のために大手の不動産企業では全件調査を行なっています。私も既存住宅状況調査の資格を持っているので、住宅調査の機会がしばしばあります。

先月、神奈川県東部のとある住宅の調査に入りました。定年明けのご主人と思われる方がお待ちしており、丁寧に住まいの中に案内していただきました。調査開始すると、リビングに立派な仏壇がありました。昨年秋に私も父を亡くしたこともあり、心の中で手を合わせました。遺影を拝見すると、アラ還くらいのまだ若いお母さんでした。調査中人懐こく話しかけてくるご主人がどことなく寂しそうに感じました。男一人の家にしてはとてもきれいに片付いており、住まいに不具合もなく調査を終えました。この調査をするということは住まいを売りに出され、ご主人にも新たな人生が始まるのだろうなと勝手に想像していました。それにしても地下車庫にあった40-50歳にはなるであろうホコリをかぶったビンテージメルセデスの行き先が気になりつつ調査を終えました。

その2週間後くらいに神奈川中部に既存住宅調査に行く機会がありました。挨拶を済ませ、調査を始めるとリビングの出窓がDIYですっかり覆われて背景が明るいお手製の仏壇になっていました。器用だなと感心しながら、ふと遺影に目をやるとなんと!見覚えのあるお母さんでした。ん?と一瞬思考が停止しつつもすぐに思い出し、『またお逢いしましたね』と心の中で合掌しました。ビンテージメルセデスが眠る家のお母さんでした。何もなかったように2時間くらいかけて調査を済ませ、帰り際娘さんであろう奥様に旧姓はSさんですか?とお尋ねしてしまいました。奥様は不思議そうにしていましたが、先月神奈川県東部での調査で一度お母様の遺影にお会いしていますと伝えると納得され、顛末をお話しくださいました。お母さんは亡くなって2年経つけど、妹さんも嫁いでしまった。実家に残ったお父様は男一人なので料理もままならず、ここも実家も引き払って新しく皆で一緒に暮らすことになりましたと。そして、ビンテージメルセデスは彼女のお爺様が乗っておられたもので、引き取り手も決まっているとのこと。やれやれ。それぞれに前に進んでいくとお聞きし、何故かほっとしながら調査を終えました。

住み慣れた住まいを売りに出される場合、それぞれいろいろな背景があります。ステップアップしていく場合だけではありません。「ほんとは売りたくないの」と調査中ずーっと話しかけてくるかたもいらっしゃいました。住宅設計を本業とする私は、基本的に明るい未来に進んでいくことのお手伝いとなりますが、既存住宅状況調査の場合は、そうでないことも多々あります。売り主が在宅で調査を行う場合、それとなく空気感で事情が察せられる場合があり、みなさんそれぞれです。神奈川東部のお父さんの場合は、どうされるのかなと気になっていただけに、少し明るいお話を聞けてとても安心したのでした。ほこりをかぶっていたビンテージメルセデスも生き活きと蘇ってほしいなと。

 

 


Tシャツでアイスクリーム

 

あるプロジェクトがきっかけで日頃考えていることが私の中で生き生きと動き始めている。

● エアコンに頼らないこと
● 風、太陽などの自然エネルギーを存分に活用すること
● 一度蓄えた自然エネルギーを逃さないこと
● 再生資源である木を使うこと

これらは、私が今まで住宅制作活動の「プランニング」において実践してきたこと。あくまでも「パッシブ(ソーラー)プランニング」であり、設備を多用する「アクティブ(ソーラー)プランニング」ではない。すなわち、それは設備に頼ることのないプランニングの工夫、言い換えれば間取りや断面計画の工夫で実践しようとすることなのだ。

夏は微風を捉えて住まいの中に気流を発生させる。
冬は太陽光を家の中に蓄え、逃さない。

この2点は、費用のかかる設備投資をしなくても設計の工夫で可能な知恵なのだ。かつての日本家屋がそうであったように、自然とともに暮らす知恵である。
ただし、かつての日本家屋そのままでは、「夏をもってすべし」がいうように夏の涼しい暮らしの知恵でしかない。現代生活では冬の豊かな暮らし方の視点を圧入することと痛感する。
かれこれ40年ほど前、北海道から東京に出てきた私に、なんて東京の冬は寒くて貧しい暮らしぶりなんだろうと感じたことが源流として流れている。『どてらにこたつでみかん』 VS『Tシャツ姿ストーブの前でアイスクリーム』は笑い話ではあるが。

 

2016年COP(気候変動問題に関する国連気候変動枠組み条約締約国会議)でパリ協定が発効された。それは、世界平均気温の上昇を1.5~2℃までに抑えることを目標にしようという指針である。
これは、エネルギーの浪費をやめ、有限かつ温暖化を促進する化石エネルギーの使用を大幅に減らそうという目標だ。
それは、自然エネルギーを積極的に使い、一度得たエネルギーを有効に使おうということと同義と考えて良い。
現在最もよく聞こえてくるキーワードは「脱炭素」。かつては、サスティナブル・デベロップメント(持続可能な開発)とも言われていた。次世代につけを回さない開発。それをさらに具現化するキーワードとして脱炭素がいよいよ動き出したと考える。もうすでに1980年代から同じことを指針としてきているのだと改めて考えさせらるのだ。

 

築40年、100坪、各室にバスルームを持ったかなり贅沢な木造家屋が目の前に現れた。古いといえば古い。少し前であれば、スクラップ・アンド・ビルドだったはず。セントラルヒーティングで全館空調されたであろうその館は、やはり脱炭素を目指してリノベーションする必要があろう。
木造家屋の心臓部にシロアリが巣食っていないか、建物は不同沈下していないか、基礎は生きているか、そのためのチェックが必要である。それらのチェックで延命可能と診断されたら、徹底的にリノベーションを行いたい。

その際には、やはり

● エアコンに頼らないこと
● 風、太陽などの自然エネルギーを存分に活用すること
● 一度蓄えた自然エネルギーを逃さないこと
● 再生資源である木を使うこと
を念頭におきたい。

この脱炭素の指針のもとこの館が延命再生されることは、地球人類地域住人の持続可能な具体的手法になると考える。

能書きはさておき、安く快適にそして人間らしく暮らせるすまいに再生させることが第一目標であることはいうまでもない。
冬の寒い時期、太陽光の恩恵を受け、Tシャツ姿でアイスクリーム片手にのびのびと動き回れるすまいが理想的だ。

 

 


台風で家がこわれたら?

Yahoo!japan 防災速報より

 

今日現在台風は発生していないようですが、先日の台風18号では日本各地に大きな爪痕を残したようです。被害に遭われた方々は大変なことだったと思います。ご苦労をお察しいたします。

 

さて、台風で家が壊れてしまったときはどのように対応するのか皆さんはご存じでしょうか。屋根が飛んだ、水害にあった、物が飛んできて外壁や窓ガラスが壊れた、などなどいろいろなことが起こります。その時に、火災保険に加入しているとその保険で台風被害の復旧費用をまかなえることがあります。台風被害で火災保険が使える?と思われる方も多いのではないでしょうか。最近では、火災保険の保険料を抑える目的で火災以外の被害については保険の対象外とする火災保険もあるようです。しかし、火災が起きることは台風被害に遭う可能性よりもかなり低いので、保険料を抑えたた火災保険よりも風水害も保険対象とした総合火災保険に入ることが備えとしては必要だと覚えておいてください。

 

私も、事務所兼自宅を建ててそろそろ20年を迎えようとしていますが、台風被害で2度ほど火災保険のお世話になったことがあります。1度目は台風で2階の窓庇が吹き飛ばされました。かなり強い風だったので、台風一過の翌日外に出ると窓庇が地面に落ちていました。それで、復旧の見積もりを取ると50万円弱でした。外部の被害は足場が必要になるので、免責額の20万円はすぐに超えてしまいます。雨樋が台風で飛んでしまっても、足場が必要になると、免責額を超えることが多いですので、火災保険で復旧することができます。

 

一方、台風の被害では火災保険が有効になる場合が多いですが、姉歯事件以降義務づけになった住宅瑕疵保険では保険対象にならないことが多いです。この住宅瑕疵保険は、10年間主に建物の不等沈下(傾き)と雨漏りが保証対象となります。よって、台風などの突発的な自然現象によって雨が漏ったなどの被害については免責になりとりあってくれません。あくまでも、施工の瑕疵(ミス)によって生じた雨漏りがその対象になります。ですので、台風被害では火災保険が頼りになります。とても心強い保険です。施工者さんも知らないことが多いので、台風で被害に遭ったらまずはすまいを造ってくれた施工者さんに火災保険はつかえますか?と相談してみましょう。もう、倒産してしまって誰にも相談できないという方は、私宛に相談いただいてもかまいません。火災保険の対象になるかどうか、対象になる場合の復旧費用はいくらになるかの相談はいつでも受け付けます。こんなケースはどうなんでしょうか?などなどお問い合わせ下さい。
佐山メール m.sayama@mac.com
 

台風で家が壊れたら、火災保険が使えるかもしれない。これは覚えておいてください。頼りになります。